研究Research
生命医科学コース国際感染症制御学研究分野ホームページ
スタッフ
- 教 授:所 正治(寄生虫学)
- 助 教:水野 哲志(寄生虫学、ウイルス学)
- 助 教:畢 袖晴(ウイルス学)
主な研究テーマ
- 腸内原虫叢の構成と役割
- ウイルスベクターを用いた抗原虫ワクチン開発
- 長期抗レトロウイルス薬治療下のHIV感染における寄生虫感染の免疫学的影響
- COVID-19:ワクチン接種と感染によるウイルス中和作用の変遷
研究の概要
マラリア,旅行者下痢症などの途上国からの輸入感染症ばかりでなく,先進国においても感染リスクが存在する寄生虫疾患は少なくない。アメーバ赤痢の年間届出数は1,000件を超え,アカントアメーバ角膜炎(自由生活アメーバ感染症),先天性トキソプラズマ症(母子感染),膣トリコモナス症(性行為感染)や,日和見感染症(糞線虫症,クリプトスポリジウム症など)などの症例が報告されている。また,近年注目されている食中毒の原因としても,鮮魚由来のアニサキスや馬肉の肉胞子虫などが挙げられる。当教室では,このような寄生虫病の臨床検査を担当するとともに,主に腸管寄生原虫を対象とした創薬および分子疫学的基礎研究をおこなっている。
また,ウイルス感染症については,抗レトロウイルス薬(HARRT)の導入によって臨床管理が可能になったHIV/AIDSについて,HARRT療養下の患者の免疫状態と寄生虫感染の相関解析など,途上国でのHIV管理の最適化を探る研究の他,「いしかわ県民新型コロナ抗体保有調査」を実施し,新型コロナウイルス流行下の住民の抗体状況をモニタリングしてきた。
研究目標
- 分子疫学による寄生虫まん延実態の解明:
種内・種間の遺伝子多型とその分布を明らかにし,各多型に応じた有効な診断・治療・介入対策を確立する。 - 寄生虫分子分類の再構築:
従来の形態学的分類を新たな分子分類すなわち分子進化学的観点から整理し,寄生原虫の種形成・ヒト寄生の確立・病原性 /非病原性の分岐といった感染症進化の基本的なメカニズムを明らかにし,進化学的アプローチによる感染症対策を確立する。 - 創薬・ワクチン開発:
放置された疾患である寄生虫感染症に対する創薬・ワクチンシーズの探索を実現する。 - 寄生虫の治療活用:
腸内微生物叢の一員としての腸管原虫叢の働きに注目し,プロバイオティクスへの応用の可能性を探る。 - HIV感染と寄生虫感染の相互作用:
途上国のHIV感染における寄生虫の影響を明らかにし、その臨床活用を目指す。 - COVID-19:
新型コロナワクチン接種による特異抗体価の推移評価、ワクチン接種後のブレイクスルー感染に関与する因子の探索を進めている。